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Critique of games | ゲームがつまらない

ビデオゲームをめぐる問いと思索
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目次

ゲームがつまらないと感じた時期

質問項目

(A)××××年〜××××年の生まれでゲームをよくプレイしている(あるいは、していたことのある)方で、
(B)「最近のゲームはつまらなくなったな」と感じたことのある方 にお聞きします。
あなたが「最近のゲームはつまらなくなったな」と感じたのはいつごろのことですか。下記から選んでお答えください。
(※ここでの、「よくゲームをする」の基準は週一回以上毎週ゲームをする、というぐらいで。)
(※「最近のゲームはつまらなくなったな」と感じたことのない方は回答をご遠慮ください。)

(××××年〜××××年にそれぞれ「1975年以前の生まれ」「1976年〜1980年生まれ」「1981年〜1985年生まれ」「1986年以降の生まれ」と入れて、四回別々の年齢層に質問した。)

集計結果


生まれた世代 × つまらなく感じた年代 の単純クロス集計表
 
図1

 
 見てもらえればわかるとおり、1986年以降の世代については十分な回答者数が得られなかった。このままだと1986年以降生まれの世代のみ回答数が少ないままなので、それぞれのセルについて、「(回答数) ÷ (生まれた世代ごとの合計回答数)」という計算を行い、全てを百分率で示すと以下のようになる。
 
図2

 
 以下、さらにグラフにして示す。
 
図3

調査概要

  • 調査日時:2005/01/12〜2005/1/20
  • 株式会社「はてな」の運営サービスを利用する「全はてなユーザー」の中から「1975年以前の生まれ」「1976年〜1980年生まれ」「1981年〜1985年生まれ」「1986年以降の生まれ」という年齢制限を設けて、各年齢ごとに250人を対象として択一式アンケート調査を行った。※ただし、1986年以降生まれの人々については十分な回答者が集まらず、回答者数は199人だった。
  • 「はてな」の当該質問ページはhttp://www.hatena.ne.jp/1105467975http://www.hatena.ne.jp/1105467738http://www.hatena.ne.jp/1105467578http://www.hatena.ne.jp/1105467403にも公開されている。

コメント

  • 言うまでもなく、1999年〜2000年にピークがきているのがわかる。このころ「ゲームがつまらない」と最も思われていたのだろう。ただ、1999年〜2000年をピークとして、それ以降は右肩下がりに推移している。この数値が示していると思われることは次のうちのいずれか、あるいはその両方だろう。
    • (1)ゲームをつまらないと感じた人はもうゲームをやらなくなってしまったのでそれ以上「つまらない」という数値が増えない 
    • (2)あるいはゲーム自体が面白いと感じられるようなものが増えてきた(つまらないと感じられるようなものが減った) 
  • 生まれた世代ごとの格差がどのようになっているのかが、いまひとつわかりにくいので、セルごとに「(セルの値) − (全世代平均のセルの値)」を行うことで、生まれた世代ごとの違いがどの程度でているのか確認しよう。
     
    図4

     
     さらにこれをグラフにして表示しておく
     
    図5

     
  • これらのデータを見る限り、図4における標準偏差(値のばらつき)、最大値、最小値などが最も低いのが「1981年〜1985年」生まれの世代であり、この世代が最も全世代の性質を代表している世代だと捉えることができる。
  • 逆に、図4でも図2でも、標準偏差、最大値が高いのが「1986年以降」生まれの世代であり、この世代は起伏が激しい。これはこの世代が、ゲームとの接触年数に影響を反映しているためだと考えられる。特に図5で見る限り、1989年〜2000年までは全体平均と比較した場合に「つまらない」と感じている率が低い。このころは単純に物心がついていなかったというか、この世代の人々がゲームに接触した初期であると思われるので、接触初期のユーザーと、接触が長期にわたるユーザーとで比較すれば、接触初期のユーザーのほうが接触長期のユーザーよりも「つまらない」と感じている率(というか飽きのくる率)が少ないのは自明だろう。逆に面白いのは、2001年〜2002年および2003年〜2004年にかけての平均と比較したときそれぞれ8%、14%も突出して「つまらない」と感じていることで、これは、他の世代が1999年〜2000年にかけて「つまらない」と感じた時のピークを迎えているのよりも、明らかに数年ズレている。これは「全世代に平均してゲームが一番つまらないと感じられていた時期」とはある程度無関係に、単純にゲームとの接触年数が長くなる、もしくはゲームプレイヤーの年齢が高くなるといった要因のいずれか(あるいは両方)によって「つまらない」と感じられる確率が高くなることを示していると見ることができる。(※1)
  • そして、「75年以前生まれ」の世代であるが、図2に注目すると標準偏差と最大値が他の世代と比べたときに突出して低いのがわかる。この世代は、1986年以降生まれの世代などと比べるとゲームとの接触年数という影響をあまり反映していない世代だと考えられる。そのため、「つまらない」と感じた時期が比較的全体にバランスよく分布していることが期待できる層だろう。だが、この層においても1999年〜2000年という時期がピークを描いているということは、やっぱり1999年〜2000年は「面白くない」と感じられるようになった時期だったのかな、と。
  • どう解釈していいかどうか難しいのはここのところで、私の持論としては「10年ちょっとぐらいゲームをやってると、一部のユーザーは飽きはじめて『最近のゲームはつまんねー』とか言い始めるやつが出てくるもんだ」と思い込んでいるのだが、1999年〜2000年ごろには、幅広い年代が一致して「つまんねー」と言っている。これは、本当に1999年〜2000年のゲーム市場がダメダメなムードが漂っていたからなのか、それともファミコンブーム(1985年〜1986年)+13、14年ぐらいのタイミングがちょうど飽き始める人が多い時期だったのか。これは、ゲームの普及のタイミングが異なっているイギリス市場やアメリカ市場で同様の調査を比較して行えば面白い結果が出るのかもしれません。
  • ただ、99年〜2000年にゲーム離れがすすんだということだけならば、その他の調査においても明らかで、CESA白書によれば日本国内ゲームソフト出荷額は97年に3,898億円まで膨らんでいたものが、年々縮小してゆき2002年には2492億円にまでなっている。また、ゲームの接触率調査においても、「現在も継続的にやっている」と答えた人の数は、1999年に39.2%でピークを迎えていたものが、2000年には27.7%へと落ち込んでいる。(これはおそらく主要ハードがPS2へと移り変わった影響も強いのかな?わからないけど。)
     
  • …と、ここまで書いて気づいたが、ゲーム接触率調査がきちんとある上に、ゲームへの接触率が少なからず変化しているのだからこれを考慮しないいけないな、と。(ゲームをプレイしている人口が多い方が、ゲームをつまらないと感じる人の単純合計が増える傾向があるだろうと予想されるため)
     そういうわけで以下に「ゲームがつまらないと感じた率(全世代平均)」÷「ゲーム接触率(現在も継続的にゲームやっている人の割合)」という計算をしたものを載せる。調査の開始されたのが96年からなので部分的になるが、1999年〜2000年についてはカバーしている。(※2)
     
    年度「つまらない」と感じた率÷接触率
    1995-1996年0.2233
    1997-1998年0.3951
    1999-2000年0.8146
    2001-2002年0.8183

     (※3)
  • こうしてみると、1999年〜2000年が「0.8146」で、2001年〜2002年が「0.8183」であり「つまらない」と感じられている割合としては1999年〜2000年がピークというよりも、1999年〜2002年にかけての時期がピークといったほうがいいだろう。
     2003年〜2004年にかけての、接触率はデータがそろってないのでわからないが、「つまらない」と感じた率÷接触率 で割り出される数値は、接触率が激減しているということもおそらくないだろうから、0.4ぐらいまで下がってるんじゃんないかな…と(ただの予想)
     
  • なお、参考までに1999年〜2000年にかけての主なゲーム業界の事件を挙げておくと以下のようなものがある。(※4)
    • ファイナルファンタジーVIII発売(1999年2月。三位以下を三倍以上つきはなして同年度二位の売り上げ。)
    • ポケットモンスター金(銀)発売(1999年11月。二位と12万本差で、362万本を売り、99年の一位売り上げ。翌年には、ポケットモンスタークリスタル、と合わせて、344万本を売り上げ、2000年度の二位売り上げ)
    • ファイナルファンタジーIX発売(2000年7月。前作から、100万本近く売り上げを落とし、265万本の売り上げで同年三位)
    • ドラゴンクエストVII発売(2000年8月。378万本の売り上げで同年一位)
    • プレイステーション2発売(2000年3月4日。同年、約400万台を売り上げ、2000年度、国内家庭用ゲーム市場規模の36.8%が同ハードによって占められ、プレイステーションの30.8%の市場規模を抜き、一位に。)
 
   
※1
 この部分からして「ゲームプレイヤーは恒常的に、いずれは保守化してゆくものなのだ」というようなことを言えなくもないだろう。
※2
 CESA白書に掲載されている接触率調査の中の「現在も継続的にゲームをプレイしている」と答えた人の率を二年ごとの平均を算出して割っている。たとえば、90年に「50%」で91年に「10%」だったら、90年〜91年の接触率は「(50+10)÷2」で30%。ただし95年についてはデータがないので、96年の接触率で95年〜96年のものとした。また、2002年の調査では新たに「不明」の項目が設けられているため、ここではデータの統一性を重視して、「不明」とされている8.8%を除外した残りの91.2%を100%に引き伸ばして再計算して算出した値を用いた。
 なお、2003年度の接触率については、単に私が『CESAゲーム白書2004』を入手できていないのでわからないのでカットしています。2004年に接触率については『CESAゲーム白書2005』が未公刊なのでわかりません。
※3
もっときちんとやるのであれば、本来ならばこのアンケートの回答者自体に対して「あなたがゲームを継続的にプレイしていた時期をチェックしてください」という質問項目を設けておければベストだったが、2005年1月時点で「はてなアンケート」にはそのような複数回答を求める機能が実装されていないため、はてなの簡易アンケート調査ではムリでした。ここらへんは調査費用をかければ、もっときちんとやることができるだろうと思います。
※4
あたりまえのことだが、これらの事件のうちのいくつかは「つまらない」と思うのに影響を与えているかもしれないし、そうでなくてたまたま99年〜2000年に起こっただけのことだったかもしれない。どの事件がどういう影響を与えたのかについては断言できません

このデータのいい加減なところ & その他の注意

  • データの偏りについて
    • 「はてな」のシステム上、回答者の年齢制限を厳密に行うことには限界があるため、世代を偽った回答者が一定以上存在している可能性が高い。特に、「1976年〜80年生まれ」と「1981年〜85年生まれ」の回答については、同一の回答者が存在してしまっているか、と思われる。
    • 回答者のサンプリングが適当。「はてな」という母集団に依存している。調査実施時点での母集団の傾向については特に公開されていないのでわからないが、多分20代ぐらいの男性ユーザーが多めだろうと思う。
  • 課題
    • この一回の調査だけでは、比較対象とするデータなどがないので、5年おき10年おきなどに定期的に同様の調査を行っていくことも重要だろう。
  • その他の注意
    • Q:1999年〜2000年ごろのゲームが一番つまらなかったってことですか?
    •  それはこのデータからだけでは言えないと思います。このデータから言えるのは、「1985年以前生まれのゲームプレイヤーがゲームをつまらないと感じることが多かった」ということであって、「1999年〜2000年ごろのゲームが平均的につまらないものだった」などといった話とは少し違います。
       「つまらない」と感じられた原因が「1999年〜2000年ごろのゲームが平均的につまらないものだった」からなのか、「ちょうどゲームをやりはじめて12,3年ぐらいして、ゲームプレイヤーが飽きてきた」からなのか、「影響力のある売れ行きソフトがつまらないと感じられやすいものだったから」なのか、はたまた、もっと想像もつかないような理由だったり、今挙げた原因の複合的なものなのか。
       このアンケートからだけでは「つまらない」と感じられた原因については明確に知ることはできません。ただわかるのは「つまらない」と思われたという結果があったということだけで、その原因については追加調査の必要があるでしょう。

[ 2005.4.11 ]
[ 追記・修正 2005.5.14 ]