4月 27日 土曜日

actuality
 エリクソンは「現実」という言い方をreality、factuality、actualityとの三つに分けて語っていたらしい。

 「真に客観的な視点」というような、哲学系の議論で発想されるような類の「現実」がrealityで、「現実問題としてさぁ…」というような場合とか、マキャベリズムみたいなタイプの「現実主義」を指すような言葉としてactualityという言葉を用いていたみたいで、factualityというのはなんだかわからないのだけれども、とにかく「realityとactualityは別物だ」という議論はとても明晰だという感じがする。
 前に、丸山眞男が「『現実主義』ってのはつまり、『現実的に考えると』とかって言い方をする人の抱いている経験的な『現実』感に左右されまくるものだよね」というようなことを言っているのと、ボードリヤールが「我々には湾岸戦争が本当に起こってるかどうかなんてわからないじゃないか」と言っていることとの違いをどう説明すればいいか、というので今ひとつキレイな説明ができなかったのだけど、acutualityという用語を導入するとすごくうまく説明できる。

 とは言っても「actualityってのは現象学的な間主観性みたいなものとかとは違うの?」とかって聞かれても詳しくないからわかんないけど、どうなんだろう。けっこう近いような気はするけど。




4月 26日 金曜日


『パールハーバー』
 映画『アメリカン・ビューティ』と『パール・ハーバー』を見る。

 アメリカン・ビューティーは普通に面白かったのだけど、
 パールハーバーは………

 あらかじめ誤解されたくないので言っておきますが、別に反米的な立脚点からパールハーバーを見る日本人が信じられないとか、そういうことを言うつもりは一切ございません。歴史観がアメリカ寄りだとかそういうことも別にどうでもいいです。そんなこと言ったって何の意味もありませぬ。この映画には。っていうか、アメリカンナショナリズムをモロだしのようなアメリカの歴史学者だって、これはいくらなんでもマズいと言うだろ。
 日本の本土の方に「中国軍」が攻め入ってきてたり。日本人は自国内で野戦みたいな格好をしてたり。鳥居に国旗が飾ってあったり。野原で東条達が会議してたり(しかも会議してる横っちょで子供が遊んでるし!ゾルゲじゃなくても機密モロばれ!)。東京大空襲の際にやたらと低空飛行だし。
 まあ、あまりに細かいところはご愛敬ということで……というので済ませたいとは思うけれど、これは一体どこの国の話……?時代考証無視にしたって、もうちょっと何とか仕様がないものか。どこをどう調べたらこういう感じのイメージができるんだろう。やっぱり未だに海外ではこういう資料がでまわっているのだなぁ、と感じさせてくれる作品。歪んだ「日本」観丸出し映画。戦闘シーンだけはそれなり。
4月 25日 木曜日

2chデビュー。
 初2chカキコ。
 ゲーム板と漫画板に。

 不毛な罵倒バトルを!と思っていたのに、「禿同」「禿」と数回書かれて終了。ありゃ。書くとこを間違えたか。まぁ同意してもらえるんならそれはそれでいいのだけど。


●そして、昨日に引き続き、

 ≪ 2チャンネラーの友人の教え 第二回 ≫

 ・板、スレによる教養レベルの違いはかなりあります
 ・2chはけっこうきちんと棲み分けがなされています
 ・sageには「面白くないからsage」と「きちんとした議論をしたいから(厨房を入れたくないから)sage進行で議論」というものがあります。(下手にageると「厨房が入るだろう」と叱られるので注意)
 ・逆にageにも「面白いからage」と「晒しage」があります。
4月 24日 水曜日


●2チャンネラーの友人に、2chにおける厨房の扱われ方についてご教唆していただく。単に厨房とは言っても、煽り系の厨房と天然系の厨房とかはわけてるのですな。

 それと、「ある種のフィルタリング機能を有した、効率のよい検索エンジンのようなものとして2chを見てみてはいかが」ということを言われ禿しく胴衣。

●アルファシステム「あたらしいゲームのはなし」
http://www.alfasystem.net/ngs/index.htm

 コストの削減の話とか、AIの話とか面白いけれど(まぁ、いささか微妙だという声もありそうだが)、なんかなぁ。

 前にO先生がマックス・ヴェーバーと福沢諭吉が「途上国の知識人」(ドイツはフランスやイギリスよりも近代化が遅れていた)という点で共通しているのだとかと言っていたのを思い出した。
 「途上国の知識人」というのは、往々にして「ものを考える人間は自分しかいない(自分が考えなかったらこの国はダメになる)」というような危機感を持ち、やたらと肩肘張って啓蒙的なものごしになることが多いらしいが、今現在ゲームについて語っている人々と言うのには少なからずそういう性質を感じないでもない。まぁ「発展途上」という言い方だと誤解を受けそうだけど「発展中」の若い分野であることは間違いのない話ではある。
 アルファシステムなんかにはもうちょっと気楽な意識でいてもらいたい。「学士なんて簡単に取れるさ!」みたいなことをまるで自分が大御所か何かのようになって言う前に、もっと遊びつつ勉強してもらいたい。
4月 23日 火曜日


ルーマン
F研究会でルーマン(の入門書)を読むことになる。
村中知子『ルーマン理論の可能性』
いや、マジ、ルーマンなんてさわったこともねぇです。
オートポイエーシスとかなら、なんとなくは知ってるが。

●それと、ルーマンの専門家というわけじゃないのだろうけれど、
前に大航海という雑誌の「ゲーム」特集の際になんやら書いていた
北田暁大さんのウェブサイトを発見
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Library/2948/

それと、馬場靖男さん
http://thought.ne.jp/luhmann/baba/index.html

ルーマンを専門的に扱ったサイト「日曜社会学」
2ch用語バリバリなので、ちょっと面くらう。
http://thought.ne.jp/luhmann/
4月 22日 月曜日


遊び研究の潮流
前に、M・J・エリスの『人間は何故遊ぶか』(黎明書房)に、心理学方面の遊び研究の成果がまとまってのっていて素晴らしい、と書いたけど、

高橋たまき・中沢和子・森上士朗
『遊びの発達学−基礎編−』培風館
のほうにエリス以降の流れもよくフォローされている。
まだきちんと読んでませんが。
4月 21日 日曜日


登山。
雨の中、大学の登山サークルで明神ヶ岳へと登る。
びしょぬれ。

これっていうのはカイヨワ流に言うとイリンクスとかなんとかいう話で片付けられるんでしょうね。ああ。イリンクスではないです。カイヨワ様。眩暈っつーか、つらい。
4月 20日 土曜日


天然コケッコー
町田の漫画喫茶でくらもちふさこ『天然コケッコー』読了。

すごいねー。くらもちふさこは。これは大御所だ。
4月 19日 金曜日


エリクソン
心理学・精神分析系の遊びの議論をやってる大御所はフロイトの「いとまき」の議論とか、ピアジュの発達心理学とか以外にあんまり知らなかったのだけど、「アイデンティティ」という言葉を学術用語に持ち込んだ人として知られるエリクソンなんかも『玩具と理性』(みすず書房)なんて本を書いてることが発覚。

で、はじめしか読んでないけど、エリクソンは、遊びの定義についてはプラトンの『法律』から引っぱてきて飛躍への欲求だとか、そういう話にしてます。日常の文法の内部でいかにして非日常への接近をこころみることができるか、という発想みたいです。

単に「非日常」と言うのではなく、重力(日常の文法)に縛られながらそれへの接近をこころみる、と言う点がちょっと独特。(プラトンを「独特」なんて言うのは、どうなんだオマエ、とかって言われそうだけど。)
4月 18日 木曜日


LA DIMENSION DU CORPS 1920-1980
 ゲームと身体で、何か語れるのではないか、とかって話をしたけど、あんまりあの話がすすんでいない。メルロ=ポンティの入門書すら読んでねぇのです。鷲田清一さんの『顔の現象学』を雑に読んだぐらい。
 ダメじゃん。自分。

 で、今日、BOOKOFFをうろついていたら、6年ぐらい前に行った展覧会「身体と表現 1920−1980 ポンピドゥーセンター所蔵作品から」の図版が売ってました。通常、展覧会とかに行ってもよほど気にいらない限りは図版とかって高いし買わない(というか買えない)ので、これも買ってはなかったのだけど、ひさしぶりに見てみると、これはけっこういいかも。
 前に行った時は、フランシス=ベーコン(哲学者じゃないですよ)の『イザベル=ロースソンの習作』の素晴らしさに惹かれて行ったのだけど、今見てみると、最近、自分の中で株が急上昇中のハンス=ベルメール(サイレントヒル2で出てきた人形とかの元ネタだったりする)なんかもおさめられてたりしたので、BOOKOFFのたまったポイントを使って買っちゃいました。
4月 16日 火曜日


『子供のおもちゃ』
 某漫画評サイトで小花美穂『こどものおもちゃ』を誉めていたので読む。

 うーん。どうだろ。少女漫画誌で連載してる作品としてはこれっていい方なんだろうか。それなりに面白いとは思うけれど。
4月 13日 土曜日


『天然素材でいこう』
漫画喫茶で麻生みことの『天然素材でいこう』を出てるとこまで読了。

 ところどころで出て来る作者の趣味が気になる。比較的マニアックとされるようなものというか、ある種のアート系の人のチョイスだなぁ、というか。
 それと少女漫画に慣れないためか、なんなのかわからないけれど、肉体的な強さとかが描かれる少年漫画と違って「人格」の強さが描かれる物語というのはどうも素直に楽しめない感じがする。少年漫画の場合は人格の強さなんかを描かなくとも勧善懲悪の構造と、なんか適当なイデオロギーの一つでも用意しておけば済むことが多いのだけど、描かれる対象が恋愛という対象だからなのか、どうしても人格の強さというのが描かれるとイヤらしいというか、やってらんない感じをうける。(いや、まぁ、こんなことは他の人も言ってるヤボな批判なんだろうな)

 あと「ローゼンクランツとかギルデンスターンとか」ってセリフが出てきたあたりはちょっとなごんだ。
4月 12日 金曜日


虫捕り
岡崎京子の『リバースエッジ』と『pink』を友人G・Mに貸した後
ファミレスにて虫捕りの話を延々として長居する。

虫捕りの話のひろがりは思いの他、とてもひろがりを見せる。

虫を捕獲することを目標とした「虫捕り」という遊びがあるというよりは、むしろ遊び相手として虫と戯れているのが「虫捕り」の実感に近い。それゆえに、ほとんど無限といっていいほどのひろがりがある。
4月 11日 木曜日


フィリップ・ジンバルドー
 遊び関係の心理学関係の本を読もうにも、心理学関係の用語に疎いので、図書館にあった心理学の入門ビデオを見てるのだけど、オペラント条件付けとか、内気は遺伝するとか、そういうのよりも何よりも案内役の教授スタンフォード大のフィリップ=ジンバルドーのおっさんの顔が濃いのが印象に残る。

 だって、なんか、いかにも悪役面のオヤジ顔なんだもん。
4月 10日 水曜日


遊びの総合理論
図書館で遊び関係の本をあさる。

●M・チクセントミハイ『フロー体験 喜びの現象学』世界思想社
M・チクセントミハイ『楽しみの社会学』新思索社
 まだ、あんまり読んでないけど、『喜びの現象学』のほうをパラパラめくったらなんだかやたらと素朴な感じのことが書いてあってウケてしまった。フロー体験なる現象があれば功利主義における効用主義の問題はすべて解決さ! みたいな感じのことが書いてあって、コレ、社会倫理学とかやってる人からしたらどうよ。

●M・J・エリス『人間は何故遊ぶか−遊びの総合理論−』黎明書房
1970年ぐらいまでの心理学方面の遊び研究の成果がまとまっていて嬉しい一冊。パッと見た感じ、「遊びとはナンゾヤ」という問いの基本的な答え方というのは「遊びは剰余エネルギー」という発想っぽい(他の説もその応用版だったりする)。もう一つの方向性としては「最適覚醒」系の説。


4月 9日 火曜日


家族、異性
 友人T・Aと漫画に登場する異性のイメージとか、「家族」の描かれ方の話とかをする。

 「家族」の描かれ方については、「家族は物語世界を日常へ引き戻す道具だよね」という程度の話にしかならなかったが、漫画家が「異性」を描くときに成功した異性の描かれ方というのは例えばどんなものがあるか、という話になって(2人とも男なんだけど)、「成功しているのはだいたい、異性を≪他者≫というか、≪異質な存在≫として描くようなものじゃなくて、異性も同性と似たような形で描いているようなものの方が成功しているような気がするねえ」と、いうような結論に至った。
4月 8日 月曜日


オントロジカル・ゲリマンダリング
 学術用語として使われるカタカナとかで、なんかやたらと長い名前のものってたまにあるけれども、なんか、そういうカタカナって別に興味はなくとも、「な…長い!」というだけで印象に残ってしまう。
 例えば、世界史の教科書に出てくるローマの五賢帝で一番みんなが覚えているのは実は、名前の長さが印象的なマルクス=アウレリウス=アントニヌスだったりする。他にも、ネルヴァとか、トラヤヌスとかハドリアヌスとかアントニウス=ピウスとかっているのだけれども、そこらへんの皇帝はほとんど記憶に残っていないという有り様である。

 しかし、今日はじめて聞いたのだが「オントロジカル・ゲリマンダリング」合計15文字はマルクス=アウレリウス=アントニヌス以来の強敵だった。長すぎて、名前を聞いただけでウケてしまう。

 社会学で、構築主義とか、そこらへんの文脈で出て来る用語で、研究者とかジャーナリストとかが研究対象を研究する行為を行う時に、研究を行う行為そのものが研究対象の状況を変えてしまうことの問題とかっていうのを指す用語らしい。ちなみに研究者の間では、みんなして「オントロジカル・ゲリマンダーリング問題が……!」とかって言い合ってるのかと思ったらつまらないことに「OG問題」と略されて呼ばれるらしい。
4月 5日 金曜日


『彼氏彼女の事情』
津田雅美『彼氏彼女の事情』を読んだことが無かったので出てるとこまで読んだが、これはなかなかにアタリ。変態性をサラッとギャグにして描いてしまえるだけでこの作品はにくらしいものがある。
4月 4日 木曜日


IE6.0
前からうすうす気付いてはいたが、IE6.0とIE5.5との解釈の違いで、かなり違って見えてしまう個所がある様子。

IE6.0で扱いが変わった解釈について
気付いた違いを簡単にまとめておく。

■CSSでのwidth:100%;指定などはPタグやh1タグやdivタグなどの改行を伴うタグでなければ、効果が無い。

■divタグのalign指定はTableタグの中にまで影響を及ぼす

対策1 : <TD align="left">などを細かに指定して頑張る
      ※しかし、全体に容量が重くなるし、大変なのが欠点
対策2 : <DIV align="center">を使わないかわりにCSSでレイアウト指定する
      ※しかし、古いブラウザーはCSSのレイアウト指定を理解しない
対策3 : <DIV align="center">を使わないかわりに<TABLE align="center">で指定する
      ※しかし、この代替案では解決しないレイアウトもある。
4月 3日 水曜日


遊びつつ遊ばれる。
西村清和『遊びの現象学』を読み始める。
読みにくい。
イヤ、まぁ、言ってることがわからないわけではないけれど、ところどころわかんないところが多いのですよ。論理展開は多分たいして複雑じゃあねぇんだろうなぁ、とは思うのだけど、引用やらなんやらがやたらと多くってまとまりが悪いのだよ。ってかボイデンテイクって誰?
4月 2日 火曜日


安野モヨコ
 安野モヨコの『ハッピーマニア』全巻および『花とミツバチ』五巻まで読了。

 安野モヨコの極めて不実な恋愛感はイヤミがなくって、個人的にはけっこう気に入っている。
 『ハッピーマニア』の主人公は自堕落でバカな女性だけれども、桜沢エリカなどと違って、バカな在り方を惰性で選び取るしかない状況におかれつつバカであることをなんとなく自覚している主人公には正直ほとんど嫌悪感はわかない。
 『花とミツバチ』に至っては恋愛をきっちり技術論とランキングの支配するゲームだと割り切って、それで物語世界を作り上げてしまっているがゆえに通常の恋愛漫画などとは程遠く、何かまったく別の快活なジャンルの漫画を読んでいるような気にさせられる。