『遊びと人間』 ロジェ=カイヨワ 1958年に出版された「遊び」に関する研究書。著者はフランスの思想家ロジェ=カイヨワ。レヴィ=ストロースの文化相対主義に対して批判をしていたり、ジョルジュ=バタイユの友達だったりする人。 ゲームの研究書籍などでもしばしばこの本の中からの4分類「競争(アゴン)」「偶然(アレア)」「模擬(ミミクリ)」「眩暈(イリンクス)」が言及されることもあり、ゲームとは何か、あるいは遊びとは何か、という問題について言及しようと思うのならば一度は読んでおいて悪くない一冊。実際、読んでみてこれはかなり面白い。 本書の構成としては第一部、第二部とから構成されていたのに加えて、その後、増補改定ということで補論が付け加えられ全体で3部構成ということになっていて、講談社の学術文庫版を買うと400ページちょいぐらいあるけれど、正直な感想としては(お叱りをうけるかもしれないけど)第一部の100ページちょいだけを読めばもう充分かな、といった感じ。何よりもここが一番煮詰まった議論のされているところだと思うし、誰が読んでもけっこう刺激をうけるところではないかな、と。 特に、自分が感じたのは、第一部を読んでいて、頑張って統一的な見取り図を作りすぎようとしすぎていて、少し無理なことをやってしまっているかな、という感触があったので、その「無理だ」と感じたものを前提にして展開されている第二部とかには今ひとつ興味が湧かなかった、というのが本音。 こまかくはまた別の機会にもう少しきちんと自分の批判的な見解もまじえつつ紹介する予定なので、以下はごく簡潔な紹介。
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